放送大学からの進路

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電波塔があった頃の放送大学本部キャンパス

時代から取り残される人はどんな時期にも存在する。未だに放送大学に正当な評価をくだせない人も多くいる。だが社会人にとってこれほど有効に活用できる教育機関がほかにあるかというと、数少ないのではないかと思う。人生の後半戦にいる私がまさかやり残してきた学問領域で国立大学の博士課程に行くことになるとは、放送大学の選科履修生になった10年前には考えもしなかった。しかし学び始めると面白くなり、それなら一からやり直して卒業してみようかと思うようになった。会社では幹部社員として働きながら、しかも夫婦で4人の子供を育てるなかでの放送大学生であった。四谷でのんびりと物理を勉強していた大学生生活とはまるで違い、真剣勝負の学びであった。2018年の3月に卒業した時は大きな達成感があった。その時には新たな分野で卒業研究論文を書くまでになっていた。

研究を続けたいという思いを持つようになり、放送大学の大学院修士課程に進むことが出来た。仕事を続けながら研究をするという大変貴重な経験をした。ここで自信を得たからこそ博士課程に進む勇気を持つことが可能となった。ただし今回は働きながらではない。財政的基盤を作り子育ても一段落した。いまさら何をと思う人もいるだろうが、私はこの分野で貢献できると確信している。それがまさに放送大学の底力なのだ。この過程で多くの研究者と繋がることができた。理学のなかでもこの分野では放送大学の名前はわりあいよく知られていることも幸いした。

しばらくは放送大学から離れて学位を取ることに専念し研究者としてしっかりと自立して、また放送大学の皆さんに成果を還元できるようになりたいと願っている。

放送大学を経由した進路は無限に広がっています。時代に取り残された人の言葉に惑わされないで自分の力を信じて進んでいけば、きっと面白いことが起こります。

大型書店のある暮らし

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東京駅のすぐ近くにある丸善丸の内本店にはよく足を運ぶことがある。東京に住んでいて良いことにひとつにこういった大型書店に気軽に行けるということがある。洋書も揃っているし物理や統計学、情報関連の書籍が大量に陳列されているので、物色するだけでも気分転換になる。新型コロナが流行して自宅が仕事場になってしまうと、このような時間はとても大切な気晴らしとなる。

 最近は研究会などもリモートで行われるから、ごく限られた人としか対面して話をする機会がなくなってしまい、人間関係の広がりも失われて久しい気がする。書店などに来ても誰かと話をするわけでもないのだが、そこで知らない人たちが会話を交わしているのを聞いているだけでもここに来て良かったと思うことさえある。とても奇妙な時代にわれわれは生きているわけなのだ。

 新型コロナは人を病気にするだけではなく、人間としての健全な精神さえも蝕んでしまっているのでなないか。病気は回復すれば良くなるが、人びとの精神的な苦痛はこれからしばらくの間は社会を蝕んだままに続くのではないかとさえ思う。「知の巨人」などという言葉がしばしば語られるが、こういう時代に知性の高所に立ち人間のあるべき姿を指し示す様な本当の意味の知の巨人は現れない。この国にはまともなリーダーさえも見出すのも難しい。

 そのような時代であったとしても私たちは精一杯に生き続けなければならない。私の場合なら研究を前に進め、ボルダリングの道を極めることに力を注ぐことで人生を全うしたい。当然にも息抜きは必要で、私の書店巡りの時間はまさにそのためにある。

 

登るサイエンティストを目指して

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インドアでのボルダリング

YB研の基本的な「お仕事」は宇宙物理学の研究とボルダリングを究めることにあります。どちらも社会的にはマイナーなことですね。しかもこの歳で博士号を今更ながら取りにいこうとしたり、現役最高齢のボルダラーとしてギネスものを目指したりという具合に、側から見たらちょっと変人だと見られても文句は言えません。しかし収入もそこそこあって生活に困っているわけでもなく、4人の子供を育ててきたわけなので、これからは人生を十分に楽しんでいきたいと思っています。そして近い将来には「登るサイエンティスト」を名乗れるように、日々修行を続けています。

放送大学の大学院修士課程で修士号を取得の後に、紆余曲折を経て4月からは筑波大学の博士後期課程で博士になるために頑張ることにしました。他方ではボルダリングもコンペに出ていた頃のようにはいきませんが、同年齢層では最高のパフォーマンスを発揮できる様にしていきたいと思います。体力的・精神的にある程度の若さを保つことが博士取得のための力にもなると信じています。

この取り組みの日々の歩みを「YB研の業務報告」としてブログに記録してきたいと考えていますので、気軽にお訪ねくださいね。