大型書店のある暮らし

f:id:ybken:20220216220819j:plain

東京駅のすぐ近くにある丸善丸の内本店にはよく足を運ぶことがある。東京に住んでいて良いことにひとつにこういった大型書店に気軽に行けるということがある。洋書も揃っているし物理や統計学、情報関連の書籍が大量に陳列されているので、物色するだけでも気分転換になる。新型コロナが流行して自宅が仕事場になってしまうと、このような時間はとても大切な気晴らしとなる。

 最近は研究会などもリモートで行われるから、ごく限られた人としか対面して話をする機会がなくなってしまい、人間関係の広がりも失われて久しい気がする。書店などに来ても誰かと話をするわけでもないのだが、そこで知らない人たちが会話を交わしているのを聞いているだけでもここに来て良かったと思うことさえある。とても奇妙な時代にわれわれは生きているわけなのだ。

 新型コロナは人を病気にするだけではなく、人間としての健全な精神さえも蝕んでしまっているのでなないか。病気は回復すれば良くなるが、人びとの精神的な苦痛はこれからしばらくの間は社会を蝕んだままに続くのではないかとさえ思う。「知の巨人」などという言葉がしばしば語られるが、こういう時代に知性の高所に立ち人間のあるべき姿を指し示す様な本当の意味の知の巨人は現れない。この国にはまともなリーダーさえも見出すのも難しい。

 そのような時代であったとしても私たちは精一杯に生き続けなければならない。私の場合なら研究を前に進め、ボルダリングの道を極めることに力を注ぐことで人生を全うしたい。当然にも息抜きは必要で、私の書店巡りの時間はまさにそのためにある。