放送大学からの進路

f:id:ybken:20220319130525j:plain

電波塔があった頃の放送大学本部キャンパス

時代から取り残される人はどんな時期にも存在する。未だに放送大学に正当な評価をくだせない人も多くいる。だが社会人にとってこれほど有効に活用できる教育機関がほかにあるかというと、数少ないのではないかと思う。人生の後半戦にいる私がまさかやり残してきた学問領域で国立大学の博士課程に行くことになるとは、放送大学の選科履修生になった10年前には考えもしなかった。しかし学び始めると面白くなり、それなら一からやり直して卒業してみようかと思うようになった。会社では幹部社員として働きながら、しかも夫婦で4人の子供を育てるなかでの放送大学生であった。四谷でのんびりと物理を勉強していた大学生生活とはまるで違い、真剣勝負の学びであった。2018年の3月に卒業した時は大きな達成感があった。その時には新たな分野で卒業研究論文を書くまでになっていた。

研究を続けたいという思いを持つようになり、放送大学の大学院修士課程に進むことが出来た。仕事を続けながら研究をするという大変貴重な経験をした。ここで自信を得たからこそ博士課程に進む勇気を持つことが可能となった。ただし今回は働きながらではない。財政的基盤を作り子育ても一段落した。いまさら何をと思う人もいるだろうが、私はこの分野で貢献できると確信している。それがまさに放送大学の底力なのだ。この過程で多くの研究者と繋がることができた。理学のなかでもこの分野では放送大学の名前はわりあいよく知られていることも幸いした。

しばらくは放送大学から離れて学位を取ることに専念し研究者としてしっかりと自立して、また放送大学の皆さんに成果を還元できるようになりたいと願っている。

放送大学を経由した進路は無限に広がっています。時代に取り残された人の言葉に惑わされないで自分の力を信じて進んでいけば、きっと面白いことが起こります。